エルベのフィレンツェといわれる美しい古都

ドレスデンは東部ドイツの南東に位置するザクセン州の州都。中世にはエルベ河の通商と銀の採掘で富を蓄積し、15世紀には国内で一番繁栄した都市になりました。
最も栄華を極めたのは、16世紀にザクセン王国の首都になってからで、特にアウグスト1世の時代には文化的にも大きく発展しました。
アウグスト1世はアウグスト強大王とも呼ばれ、1694年から1733年にわたりザクセン選帝侯として国を治めましたが、その間ドレスデンを欧州随一の芸術の都にするため精力的に活動しました。
建築家や技術者たちを各地から招へいし、荘厳な宮殿や教会、貴族の館の建設を次々と進め、絵画をはじめとする各地の美術品収集にも情熱を傾けました。
また、磁器にも魅せられ、招へいした技術者に白磁器の製作を命じています。その結果、18世紀初めドレスデンでヨーロッパ初の磁器が製作されるに至りました。
ドレスデンは芸術のみならず産業面でも発展を続け、第2次世界大戦以前には国内最大の機械工業都市となり、その伝統は大戦後の東独時代にも受け継がれました。東西ドイツ統一後も、旧東ドイツ内で一番の発展を遂げました。
現在は自動車を初め電子、半導体など日本を含む世界各国から多数の企業が投資をし、活力あふれる都市として飛躍し続けています。

ドレスデンはエルベのフィレンツェと言われる美しい街

エルベ河岸からは、歴史と文化の香りただよう旧市街の街並みが一望できます。
ドレスデンはエルベ河畔の豊かな自然だけでなく、貴重な文化芸術遺産のある歴史的都市として訪れる人を魅了し続けています。
なかでも、エルベ河畔から旧市街の散策コースは観光のハイライトとなっていて、屋根の聖人像たちが特徴の旧カトリック宮廷教会、1841年に開設され、ワーグナーが指揮者として招へいされたオペラ劇場、美しいバロック様式のツヴィンガー宮殿、歴代のザクセン君主を描いたタイル壁画君主の行列など見るべきスポットがたくさんあります。

フラウエン(聖母)教会

18世紀に建設された聖母教会は、バロック芸術の最高峰と言われた壮大なプロテスタント教会です。1945年2月の大爆撃によって破壊され瓦礫の山と化しました。
しかしながらドレスデンの象徴であった聖母教会の再建のため市民が一丸となって大規模な市民運動を開始し世界中に理解と支援を呼びかけました。そうして1996年にようやく再建が開始され、11年の歳月をかけて、その姿が甦りました。

 

広大なツヴィンガー宮殿内の古典絵画館には、各地から収集された名画が収められています。その中にラファエロの「システィーナのマドンナ」があることは、意外なほど知られていません。
現在ではあまりにも有名となった二人の天使が描かれていますが、この名画を手に入れるために、一つの街が建設できるほどの莫大な金額が支払われたと記録されています。

 

アルベルティヌム美術館内の緑の丸天井と呼ばれる宝物館には、ザクセン王家の財宝のコレクションが展示されています。ルビーやダイヤモンド,エメラルド,真珠などの宝石を惜しげもなく使ったアクセサリー,食器,工芸品など、王家の莫大な財力と財宝収集に注がれた君主たちのエネルギーを実感することができます

[左上] アルベルティヌム緑の丸天井宝石コレクションから

[左下] SMPドレスデンのエンジェルのモチーフ

[右上] システィーナのマドンナ

[右下] SMPドレスデンの製品にも描かれたゼンパーオーパー

     (オペラ劇場)